こんにちは!富士見麦酒醸造所ビールブリュワー平本です。
ただいま、冬にピッタリの季節限定ビールを限定で造りました!まもなく、限定で、隣の大泉クラフトビール工房・飲食店での提供いたします。ここでは、お店の隣の醸造所より、ブリュワーが、ビールが美味しく出来上がるまでをレポートしていきます♪
12/12 「冬限定ビールの開発秘話」をUP
12/20「発酵の様子をレポート♪」をUP
12/27「レシピの”ちょっとマニアックな話”」をUP
1/5「ついに、柚子のウィンターヴァイツェン完成!」をUP
冬限定ビールの開発秘話
当醸造所では、普段、定番のラインナップとして
・IPA
・レッドエール
・ヴァイツェン
・セゾン(もうすぐ登場)
という4つのビールを造っています。今回は、より地域の皆様に喜んでいただくため、冬らしい「季節限定のビール」を開発する事に。季節の果物を使ったビールがあったら面白い!地域のお客様に喜んでいただけるのではないか?と考えました。
ベースにするビールは、
・果物との相乗効果がある
・使用した果物が分かりやすい、スッキリしたもの
と考え、“ヴァイツェン”に決定!(▼ヴァイツェン自体、小麦を使った柔らかいフルーティーなビールです♪)
また、当醸造所のヴァイツェンのこだわりは、「普段ビールを飲まない人にもオススメできるライトな味わい」というコンセプトで、他に流通しているヴァイツェンよりもかなりスッキリとしているのが特徴です。
そして使用するフルーツは、
・香りや味のイメージがしやすい
・季節感・特別感があるもの
と考え、“柚子”に決定!旬の味わいで冬らしいビールになりそうです。
自家栽培・無農薬の柚子を使用し、より美味しくて安心して飲んでいただけるものを目指します。(▲今回使用する柚子♪)
ただ、ヴァイツェンに、柚子の香り・酸味が加わると、「ヴァイツェンらしさ」が薄れるのが課題。。。そこで、舌に残るヴァイツェン特有の小麦感を出すために、モルトの配合も変更しました!ちょっとマニアックなレシピや工程についてはまた今度の投稿でお伝えします。
発酵の様子をレポート♪
いよいよ柚子ヴァイツェン、仕込みが終わり、発酵段階に入りました♪ここで、今回の工程の1つのメインといえる「柚子の味わい・香り付け」を行います。
今回は、600Lのヴァイツェンの仕込みに対して、20kgもの柚子を丸ごと使用!煮沸中の麦汁に、ネットに入れた柚子を丸ごとドボン!醸造所内に、柚子の爽やか〜な香りが広がっていきました♪
柚子を加えるのはこの工程だけですが、しっかりとビールに柚子の香りが残ってくれるよう期待を込めて、発酵させます。
ビールにおける発酵という過程は、「酵母が糖を分解して、アルコールとガスを生成する」こと。発酵中、ガスが生成されると、”ポコポコ”っと出てくる泡を確認できます。これは「発酵がちゃんと進んでますよ」というサイン!ひと安心する瞬間です。
▼(動画:生成されたガスがポコポコ泡で出てくる様子)
この生成されたガスから、柚子の良い香りが広がります。(写真で香りが伝わらないのが残念🥺)
※ベースのビールが「ヴァイツェン」の場合、「ヴァイツェン酵母」で発酵させる為、本来はヴァイツェン酵母ならではの「バナナのような甘〜い香り」がしますが、今回は柚子を大量に入れているので、バナナの香りを上回る「柚子の香り」!これはどんな仕上がりになるか楽しみです^^
7日間の発酵を終えたら、「最終段階:熟成」です!
レシピの”ちょっとマニアックな話”
ところで、造っている柚子ヴァイツェンについて、ちょっとマニアックなお話。興味のある方は読んでみてください♪
課題①ベース:小麦のビール「ヴァイツェン」
今回の柚子ヴァイツェンのビールのベースは、実はまるっきりヴァイツェンと同じレシピ(工程)では造っていません。というのも、当醸造所のヴァイツェンのコンセプト【ビールを普段飲まない人にもオススメできるライトな味わい】に単純に柚子を加えると、あまりにもスッキリしてしまいちょっと面白みに欠けてしまうんです😥
そこで、ビールのボディを高め(ヴァイツェンの場合は、口に残る小麦のふくよかさ等)、香りとしてほんのり柚子が香る仕上がりを目指して、「糖化温度を3℃上げて」仕込みを行いました。
▼本来、糖化が進みやすい65~67℃で行いますが、ボディ感を残すために、あえて糖化の進みづらい68℃まで上げます
最終的なアルコール度数は、ヴァイツェンと同じ4%ですが、すっきりとした味わいの中にも、口の中に広がる小麦感を残すように調整を行っています。
課題②柚子:添加方法
どうしたらより香りが引き立つかを考えて、色々な方法で試作しました!
・絞った果汁と搾りかすに分けて投入
・柚子の皮だけを発酵時に添加
など・・・
やはり、フレッシュな柚子の果実の、新鮮なピール(皮)に勝る香りはなく、「丸ごと柚子を投入する」方法で仕込むことにしました。
糖化温度が数℃違ったり、同じ果物・量でも香りのつきかたが変わったり、ビール醸造は奥が深く、常に勉強になりますね。。。🤔
ついに「柚子のウィンターヴァイツェン2025」完成!
お待たせしました!地域の皆さまに送る、500Lだけの超少量・限定醸造!「柚子のウィンターヴァイツェン2025」の熟成が終わり、ついに完成しました♪
タンクから出来立てビールを注いでみると…
鮮やかなイエローカラー!
▼早速、出来立てを試飲してみます♪
▼実際に飲みながら感じて欲しい、このビールの味わいをまとめると…
- 口を近づけると、ふんわり柚子の香り
- 小麦を使ったビールならではのキメの細かい泡がスーッと入ってきて…
- ほんのり小麦の甘みを感じながらも
- しっかり飲みごたえ!(これが糖化温度調整によって引き出したボディ!)
- 飲み終わりは、少しの酸味とほろ苦さでキリッと締まる
寒い時期だから美味しい、なかなかの仕上がりとなりました!当醸造所が目指すビール「普段ビールを飲まない方でもつい飲んでみたくなる・気軽に飲める」1杯になったのではないでしょうか😁
ただいま、限定で隣の飲食店(鶴瀬クラフトダイニング)にてご提供中。ぜひ、出来立て新鮮のうちに、飲み逃しないようお試しいただけますと嬉しいです^^
鶴瀬クラフトダイニングよりご案内
・「柚子のウィンターヴァイツェン2025」は、醸造所・隣の飲食店内(鶴瀬クラフトダイニング)で、生ビールにてご提供しております
・飲み放題コースなら、「柚子のウィンターヴァイツェン」を含めた、全ての自家醸造クラフトビールが楽しめます(コースにより内容が少し変わる為、詳しくはコースをご覧ください)